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ネオンと人情、きらめく カメラとお出かけ ほろほろ街(マーチ)vol.10 屋富祖大通り(浦添市)と周辺

2018/03/06 2:00
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ネオンと人情、きらめく カメラとお出かけ ほろほろ街(マーチ)vol.10 屋富祖大通り(浦添市)と周辺

戦後、米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の“城下町”として栄えた浦添市屋富祖。焼け野原となった沖縄各地から軍作業の職を求めて人々が集まり、人口は急増した。

時代は移ったが、さまざまな人を温かく受け入れる心は変わらない。最近は若い世代の出店も増えている。「今、屋富祖が熱い」と聞き、屋富祖大通りを中心に街中をほろほろ(ぶらぶら)した。

屋富祖公民館の近くにある御願所「殿(トゥーン)」。屋富祖自治会長の松田勝夫さん(74)の案内で訪ねると、樹齢100年を超える高さ10メートル以上の大きなガジュマルがそびえ立っていた 1。

「昔は子どもたちの遊び場で、木の上に小屋を作った」。松田さんは懐かしそうに大木を見上げた。激戦地だった浦添だが、ガジュマルは焼失することなく今も地域を見守る。

公民館前の庭から南側に約50メートル歩くと、瓦屋根の古い民家兼店舗が目を引く。一銭マチヤーグヮー「豊里駄菓子屋」 2 の店内をのぞくと、4、5人の中学生が約40年前のゲーム台の前に座ってスマホゲームに興じていた。

「子どもたちの居場所だよ」と目を細める店主の豊里道子さん(93)。53年前に貸本屋を始め、しばらくしてから駄菓子屋に店替えした。「昔よく来ていた子が『自分の子どもです』と言って子連れで来ることもあるさぁ」と笑う。

さらに南向けに進むと、小さな工場にたどり着いた。塩せんべいとスルメを小麦粉で包んで油で揚げた菓子「いちゃがりがり」を生産する「新里食品」 3 は知る人ぞ知る人気の老舗。

「量販店に卸しているけど、『懐かしい』と言ってわざわざ買いに来る人もいる」と語る新里満信さん(55)。兄の敏郎さん(59)は「鍋は親父の代からだからもう50年以上になるよ」と話し、カリカリになるまで揚げたいちゃがりがりを味見させてくれた。奥歯でがりがりかみくだくと、イカの香りが口の中に広がった。

屋富祖大通りに出て国道58号に向かい歩くと、左手に見えるのが約60年前に開業したという「屋富祖天ぷら屋」 4 。イカや魚、イモ、野菜などの天ぷらは一つ20円という40年前と同じ値段で販売している。

母親から店を引き継いだ仲松弥野さん(86)が体調を崩しているため、現在は妻のツル子さん(78)と長女のさおりさん(50)が店を切り盛りする。「母が元気なうちは続けるつもり」。さおりさんはあちこーこーの天ぷらが入った袋を客に手渡し、にっこりと笑った。

すっかり暗くなった夜8時頃、仕事帰りのサラリーマンらが集うボディービルのジムがある 5 。1986年、世界チャンピオンに輝いた新垣清喜さん(76)のジムだ。

そっと中をのぞくと、男たちが200キロのバーベルを担ぎ、スクワットやベンチプレスに汗を流していた。壁には数々の名だたる世界のボディービルダーと一緒に写ったセピア色の写真がずらり。71年に設立し、米兵もよく通ってきたという。

興奮冷めやらぬまま、スナックや居酒屋の明かりがともる方へ坂を上がっていくと、2階にひときわ大きな赤ちょうちんが二つぶら下がっている。食欲をそそる焼き鳥の香りと若いお兄さんたちの笑顔に迎えられた。

「おきなわばんざい」 6 を営むのは31歳の具志堅太樹さんと玉城育磨さん。同級生2人で昨年11月に開いた。新鮮なハツやレバーにビールも進む。「地元が栄町やコザみたいになってくれればうれしい」と熱く真っすぐに語る2人。ハツ串を片手に、私のハツ(心臓)もじーんと打たれるのだった。

おなかも満たされ、踊りたくなった。音楽にこだわったバースタイルの店「ディスコバーBROS」 7 。ドアを開けると、ミラーボールが回る別世界であった。

踊ったらおなかがすいてきた。やっぱり締めはそばだよね、と「すばやー」 8 でソーキと三枚肉入りすばを注文。店主の新崎秀子さん(65)はみんなから“お母ちゃん”と慕われている。

「『彼女ができたら連れてくるね』と本当に連れてくる子もいるよ」とにこにこ。沖縄市から毎日通うが「お客さんとの会話が楽しくて全然疲れない。向いているんだろうねー」。笑顔と温かいそばに心も満たされた夜だった。

写真家の平敷兼七さんは2009年に亡くなるまで、歓楽街の「職業婦人」など沖縄社会の片隅で生きる人々を撮り続け、多くのファンを持つ。ギャラリーは15年に、家族が中心となって自宅の一部を改装してオープンした。次女の七海(なみ)さん(43)が隣で美容室を営みながら、ギャラリーの管理をしている。

「昔は国際通りが1番で屋富祖大通りが2番、というぐらい都会だった。近くに住んでいるというだけで同級生にうらやましがられた」と七海さん。お酒が好きだった平敷さんが行きつけだった飲み屋やスナックも健在だという。

ギャラリーでは「二人展シリーズ」と題し、約3カ月ごとにテーマを変えながら平敷さんの作品と、平敷さんとゆかりのあった写真家の作品を展示している。七海さんが出してくれるコーヒーとお菓子でひと休み。七海さんとゆんたくしつつ、棚に並ぶ平敷さんの日記や貴重なアルバムを見つつ…。あっという間に時が過ぎる味わい深い空間だ。

出典: ryukyushimpo.jp

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