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『歌集 夏の領域』 柔軟に向き合う詠

2017/11/26 1:31
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 第一歌集の巻頭歌はその人の特色を反映すると言われ啄木の『一握の砂』は「東海の小島の磯の白砂に/われ泣きぬれて/蟹とたはむる」だが、『夏の領域』の次の巻頭歌はどうか。

 ボタンを外す開放感がアクティブな青春を思わせて読者をぐいと惹(ひ)きつける。同じ一連には「『ずつと一緒』のずつととはどのあたりまでとりあへず次は部瀬名岬(ぶせなみさき)」もあり、伸びやかでスピード感のあるこうした世界に私たちは、ああ健やかで行動的な新人が登場したな、と期待を膨らませた。

 短歌は暮らしの文芸だから今日の日本に生きる私たちにとっても沖縄は困難で切実な主題である。平山良明や比嘉美智子世代の沖縄、名嘉真恵美子世代の沖縄、それぞれの体験に裏付けられた分厚い成果があるが、そこにどう新しい沖縄詠を加えるか。三首目の軽さを懸念する人もいるだろうが、軽さの中にも沖縄の不条理は生きており私は共感する。柔軟で切実で、素手で現実に向き合う沖縄詠の可能性がここにはある。そうした手探りに交じる次のような沖縄ならではの相聞も楽しみたい。

 さとう・もにか 1974年生まれ、千葉県出身。竹柏会「心の花」所属。2013年より名護市在住。15年に小説「カーディガン」で九州芸術祭文学賞最優秀賞受賞。17年に詩集「サントス港」で第40回山之口貘賞受賞。

出典: ryukyushimpo.jp

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