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死刑の判断、裁判官も「心が重い」 特に悩んだ少年事件

2018/09/02 2:26
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 死刑は、どのように決まるのでしょうか。最高裁はかつて「基準」を示していますが、実際に死刑判決を言い渡した元裁判官は「悩みながら考えた」と明かします。現在では、市民の中から選ばれた裁判員も死刑の判断に関わります。死刑の選択にかかわった当事者の思いを紹介し、そのあり方をみなさんと考えます。

 死刑と向き合うことは「心が重い」仕事です。最高裁判事のころ、いくつもの死刑事件に関わりました。記録を読み込み、悩みに悩んで判断しました。執行の報道が流れるたび、自分が関わった事件かどうかは気になります。職業裁判官ではない裁判員ならなおさら、生涯の重荷となるのではないでしょうか。

 特に悩んだのは、少年事件の死刑でした。山口県光市の母子殺害事件で多数意見は死刑でしたが、「被告の精神的成熟度が相当程度低いという事実が認定できるなら、犯情などが変わる可能性がある」などと反対意見を書きました。最終的に死刑は確定しました。一方、少年グループが若者4人を殺した連続リンチ殺人事件は残虐性もあり「死刑はやむをえない」と判断しました。

 最高裁は法律が憲法に適合するかどうかも審理します。過去には、両親らを殺害した場合は死刑または無期懲役とし、通常の殺人より刑を重くする刑法の「尊属殺人」の規定や、結婚していない男女間の子の法定相続分を、結婚した男女の子の半分とする民法の規定などを違憲と判断しています。国内事情だけでなく、世界の潮流を念頭に、人類の理性が到達した地点を考慮した判断だといえます。

 国境を越えて人々が自由に移動する時代、刑罰も世界との調和が求められています。憲法の前文にあるように、日本が国際社会で名誉ある地位を占めたいのであれば、政治や司法は世界の潮流を踏まえ、死刑の是非も国民に語りかけていく姿勢が必要だと思います。

 2011年に千葉地裁で裁判長として死刑判決を言い渡しました。千葉大生1人を殺害した強盗殺人罪に加え、強盗強姦(ごうかん)など計九つの罪に問われた被告で、殺害の計画性は認められないが、短時間に他の重大事案を複数起こしていたことなどを踏まえ、「死刑を避ける決定的な事情にはならない」と判断しました。

 東京高裁で被告は無期懲役となり、最高裁で確定しました。高裁は、被害者が1人の強盗殺人事件では、殺害に計画性がなければ死刑としない量刑傾向を重くみて、傾向から外れた判断をする場合には、説得力のある理由が必要なのに、私たちの判決は不十分だったと指摘しました。

 高裁の判断は不当だと思いません。ただ、どんな結論がよかったのかと問われれば、正直なところよく分かりません。一緒に考え抜いた裁判員がどう思ったのか、とても気になりました。

 量刑傾向や過去の最高裁の基準に機械的に縛られるのなら、裁判員が刑事裁判に加わる意味はありません。裁判所は裁判員に、なぜそのような量刑傾向になっているのかや、殺害された被害者の数の考え方を分かりやすく説明する必要があると思います。

 被告を死刑にすべきかどうかの基準は何か。最高裁は1983年、警備員ら4人を射殺した永山則夫元死刑囚に対する判決で一つの考え方を示しました。この判決では①犯行の罪質②動機③態様、特に殺害方法の執拗(しつよう)さや残虐さ④結果の重大性、特に殺害された被害者の数⑤遺族の被害感情⑥社会的影響⑦犯人の年齢⑧前科⑨犯行後の情状――を挙げ、総合的に考慮して「やむを得ない」場合に死刑選択が許されるとしました。「永山基準」と呼ばれ、裁判員裁判が導入された現在も判決でよく引用されています。

 裁判員裁判で死刑が言い渡された被告は35人います。国学院大法学部の四宮啓(しのみやさとる)教授によると、判決では永山基準で示した項目のうち、犯行の態様や遺族の被害感情への言及が目立つ一方、被告の年齢や生い立ち、更生の可能性などはあまり重視されない傾向があるといいます。

 四宮教授は「裁判員がもっと自信を持ち、納得できる判断をするため、死刑選択の基準を明確にし、死刑事件の審理の在り方も見直す必要がある」と語ります。

出典: asahi.com

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