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見た目そっくり「双子」の小惑星 日米の探査本格化へ

2019/01/16 5:08
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 「米国版はやぶさ」とも言われる米国の探査機「オシリス・レックス」が昨年12月、地球から約1億キロ離れた小惑星「ベンヌ」に到着した。日本の探査機「はやぶさ2」も来月後半、「リュウグウ」に着陸して砂や石の採取に挑む。日米の探査機による小惑星探査が本格化する。

 米探査機「オシリス・レックス」は、打ち上げから2年3カ月、約20億キロの長旅を経てベンヌに到着した。最大のねらいは、ベンヌの試料を地球に持ち帰ることだ。

 「太陽系の化石」と言われる小惑星には、46億年前の誕生当時の姿を残す岩石や砂があるとされる。直接調べれば、生命に欠かせない水やアミノ酸などの有機物の起源、太陽系の成り立ちに迫ることができる。

 オシリス・レックスは1日(日本時間)、ベンヌの高度約1・8キロまで近づき、62時間で1周する軌道に入った。小さな天体はいびつな形で重力も弱く、探査機が周回するには、入射角度などの慎重な調整が求められる。ベンヌの直径は約500メートルで、これまで探査機が周回した天体として最も小さい。

 ミッション責任者でアリゾナ大のダンテ・ローレッタ教授は「何年も計画してきた素晴らしい成果だ。地図の作製と、着陸場所探しがいよいよ始まる」と述べた。今後1年以上かけて、高解像度の撮影をしながら、地表成分や地形、熱の噴出の有無などを詳しく調べ、着陸候補地を2カ所に絞る。

 着陸は2020年7月の予定で、長さ約3メートルのロボットアームの先につけた円柱形の装置を地表に5秒間押しつけ、噴射した窒素ガスで舞い上がる砂を吸い込む。少なくとも60グラムを採取し、23年9月の地球帰還を目指す。これだけの量を回収できれば、1960~70年代に月から岩石を持ち帰ったアポロ計画以来となる。

 ただ、着陸には懸念もある。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2が着陸するリュウグウの地表は、事前の想定以上に岩が多く、安全に着陸するためリハーサルを追加し、4カ月延期した。ベンヌも同様に岩が多く、着陸は難航する可能性がある。

 オシリス・レックスが320キロの距離から捉えた画像は、昨年11月に公開されると、小惑星の研究者らに驚きを与えた。数億キロ離れたリュウグウ(直径約900メートル)の姿と、「双子」のようにそっくりだったからだ。

 「同僚から『間違えてリュウグウに行ったんじゃないのか』と言われたよ」。NASAで小天体探査の主任研究員を務めるポール・エーブル博士は、当時こう話した。

 小惑星は、岩石成分が多い「S型」と炭素質で水や有機物を含むとされる「C型」などに分類される。ベンヌとリュウグウはどちらもC型だ。こうした成り立ちが形状に影響しているのか、今のところ不明だ。

 一方、両者の違いも分かってきた。ベンヌの表面には黒い点々が見つかり、水や有機物を含む炭素質コンドライトと考えられた。赤外線分析で、地表は酸素と水素が結びついた水酸基(OH)で覆われていると見られる。リュウグウにはこれまで、水の成分は観測されておらず、「カラカラの状態」らしい。

 神戸大の臼井文彦特命助教によると、C型の水分は、太陽や隕石(いんせき)の衝突による熱によって失われる可能性がある。臼井さんは「リュウグウとベンヌは進化の過程に違いがあるのではないか」と推測する。

 科学的な成果をめぐりライバルとなる日米だが、着陸地点や試料回収の方法などの情報は共有している。エーブル博士は「両国でタッグを組み、効率よく研究できる」と話す。試料は回収後、互いに交換して解析する予定だ。

 はやぶさ2ミッションマネージャでJAXAの吉川真准教授は「小惑星の共通点や相違点がわかることで、普遍的な知見が得られる。サンプルを持ち帰ったあとの分析が非常に楽しみ」と話している。米国のチームには「リュウグウのように想定外のことが起こるかもしれないが、楽しみつつ、お互いサンプルを持ち帰られるよう頑張りましょう」とエールを送る。

 地球の軌道に近づく小惑星は、これまでに約1万9千個見つかっており、うち約2千個が「潜在的に危険」と監視リストに挙げられている。ベンヌやリュウグウも、このリストに含まれている。

 特にベンヌは、地球の軌道を頻繁に横切り、6年ごとに地球に近づく。NASAは、22世紀後半に地球に衝突する恐れがあるという分析結果を発表している。衝突する確率は0・037%でかなり低いが、小惑星の軌道を正確に予測することは難しい。

 小惑星は、吸収した太陽光を熱として放出する際の力で、軌道が徐々に変わるためだ。「ヤルコフスキー効果」と言われる。NASAは、この効果がどの程度効いているのか調べ、ベンヌの正確な軌道の把握をめざすことも計画の一つに挙げている。

 巨大な小惑星が地球に衝突する危機を描いた米SF映画「アルマゲドン」では、小惑星に核爆弾を埋めて爆発させるストーリーだったが、実際には無数の砕けた破片が地球に落下する恐れがあり、「お勧めできない」(NASA)という。

出典: asahi.com

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