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車体やホイールに 「ドジ許されぬ」独断のGPS捜査

2018/02/20 1:45
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 2日連続で家の前に現れ、うろうろする男。立ち去ると、テープでぐるぐる巻きにされた手のひら大の物が車の底から見つかった。中身は、位置情報を発信するGPS端末。取り付けたのは、「法の番人」の警察官だった。

 警察官は、三重県警捜査3課の男性警部補(43)。昨年4月、広域窃盗事件に関わったとして逮捕状が出ていた男(50)の車に無断でGPS端末を取り付けたなどとして、今年1月、懲戒処分を受けた。

 家の前に止めてある車の近くをうろうろし、写真を撮っている人物を実家の家族が発見。声をかけると、「人を探してて」などと言って立ち去った。車を確認したところ、ビニールテープでぐるぐる巻きにされた手のひら大の物が底部に取り付けられていた。次の日も見知らぬ人物が現れ、車の底部に手のひら大の物が残されていた。

 テープをはがすと、中からGPS端末や強力な磁石などが出てきた。GPSは、リアルタイムの位置情報をスマートフォンなどで把握できる。子どもやお年寄りの見守り機能をうたった商品を通信各社などが扱っている。

 中からは、どんな経路をたどったのか確認できる記録型の機器「ロガー」も出てきた。内蔵されているSIMカードを含め、端末番号やメーカー名のロゴはすべて削り取られていた。

 男は昨年12月、別の容疑で中国地方の県警に逮捕され、「車にGPSが取り付けられていた」と訴え出た。保管していた端末を提出し、捜査機関が調べて警部補の関与がわかった。

 GPS端末を取り付けたとされる時期は昨年4月。最高裁が、GPS端末を使って対象者の居場所を探る捜査はプライバシーを侵害する恐れが高いとして3月に法整備を促し、全国の警察で使用自粛が指示された直後だった。警部補は「早く検挙したいという思いで使った。上司、同僚、部下に一切、相談していない」と話したという。

 三重県警の調査では、警部補は昨年8~10月に3回程度、別の捜査でもGPS端末を使っていたことが判明。4月に取り付けた男の家族に端末を回収されたことから、新たに契約し捜査に使っていたという。

 県警はこれらの端末は警部補が個人で契約したもので、捜査利用は独断だったと結論づけ、1月、警部補を減給100分の10(1カ月)の懲戒処分とした。

 秘密裏に行われていたGPS捜査が明るみに出たのは2006年3月。愛媛県警の捜査員の私有パソコンから捜査資料がネット上に流出し、殺人事件の参考人の車にGPS端末を取り付けていたことが発覚した。

 警察庁は同年6月、GPS捜査のマニュアルを作った。GPSを使う際、あらかじめ刑事部の責任者に申請してその承認を得たり、上司に運用状況を報告したりしなければならないと定めた。GPS端末を使ったことは捜査報告書に記載しないことや、容疑者、報道機関にも伝えない「保秘の徹底」も記した。

 三重県警では、大阪地裁で令状なしGPS捜査に初の違法判断が出た15年ごろまでは、捜査員が個人でGPS端末を契約し、個人や班の判断で使っていた、と複数の捜査関係者や県警OBは証言する。「責任者の承認を得なければいけない決まりは聞いたことがない」と口をそろえる。

 証言によると、GPSを使ったのは、窃盗などの常習的な事件の捜査対象者。車に取り付けて行動を確認し現行犯逮捕につなげたり、容疑者の絞り込みに使ったりしていたという。

 車に付ける際、当初は底部に付けることがほとんどだったが気付かれるケースも出てきたため、タイヤのホイールを外して内部に取り付けるなど、やり方は巧妙化。契約名義がばれないよう端末番号を削り取るなどの工作も始まったという。

 県警OBの一人は「GPS捜査は警察が秘密裏に行ってきたもので、持ち主がばれるようなドジは許されない。周りに迷惑をかけたらいけないと、上司や同僚に相談せずに使う捜査員もいた」と話す。

 大阪地裁では、広域窃盗事件で大阪府警に逮捕された被告が、無断で車にGPS端末が取り付けられたとして、令状なしGPS捜査の違法性を主張。17年3月、最高裁がこの事件でGPS捜査について初めての判断を示した。判決は「GPS捜査は個人の行動を継続的、網羅的に把握するもので、個人のプライバシーを侵害しうる」とし、令状なしの捜査は違法とした。

 また、「端末を取り付ける車両や罪名を特定しただけでは、容疑事実と関係ない行動の把握を抑制することができない」と指摘。「今後も広く用いられる手法であるとすれば、立法的な措置が望ましい」と法整備の必要性を示した。

出典: asahi.com

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