アングル:幹部逮捕に揺れる中国ファーウェイ、何が問題なのか

2018/12/07 6:55

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[6日 ロイター] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟(メン・ワンツォウ)・最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕されたことで、世界のビジネス界に6日、激震が走った。

孟氏は、ファーウェイの創業者、任正非(レン・ツェンフェイ)・最高経営責任者(CEO)の娘でもある。米中貿易戦争の「一時休戦」が早くも終わりを迎えるのではないかとの懸念が高まっている。

孟氏は、米当局の要請で、米国の貿易制裁違反の捜査に関連して逮捕されたと、事情筋はロイターに明かした。中国外務省によると、米国とカナダはともに逮捕理由を明らかにしていない。

ファーウェイは、世界最大の通信ネットワーク機器サプライヤーであり、第2位のスマートフォンメーカーでもある。昨年の売上高は約920億ドル(約10兆円)。他の中国テクノロジー大手と異なり、主要市場は海外で、欧州やアジア、アフリカの多くの国々で市場最大手になっている。

ファーウェイは、1987年に人民解放軍出身の任正非氏が創業した。今も非上場であり、株式は社員が保有していると説明しているが、その構造は明らかになっていない。本社は中国南部の技術ハブ都市である深センにあり、約18万人を雇用している。

ファーウェイは、中国が通信網の近代化に多額の予算をつぎ込み、多くの機材を輸入に頼っていた時期に、数少ない電気通信機器サプライヤーのパイオニアだった。ファーウェイは1990年代に海外市場に進出し、ライバルを大幅に下回る価格設定で知られるようになった。

米情報機関は、ファーウェイが中国政府とつながっており、同社製品には政府のスパイが使用できる「裏口」機能が埋め込まれている可能性があるとしている。その証拠は公表されていないが、ファーウェイ側はこの疑惑をたびたび否定している。

だが疑惑は消えていない。現在の懸案は、ファーウェイが先頭を走る次世代高速通信「5G」技術の構築だ。国内企業に、要請があれば政府を支援することを義務付けた中国の新法も、懸念材料となっている。

米国のもっとも親密な同盟国であるカナダや英国、ドイツでさえ、機材のセキュリティーを確認する十分な対策を講じているとして、ファーウェイに対して具体的な対応を取っていない。だがオーストラリアとニュージーランドは最近、ファーウェイの5G通信網構築への参加を禁止した。ドイツなども、この問題の再点検に動いているもようだ。

米当局は、孟容疑者の逮捕に至った状況について明らかにしていないが、事情に詳しい筋はロイターに対し、今回の逮捕は、米国の貿易制裁違反に関連するものだと話した。

ロイターは約6年前、禁輸対象の米ヒューレット・パッカード(HP) のコンピューター機器をイランの携帯電話大手に売却しようとしていたスカイコム・テックという企業と、孟容疑者とファーウェイのつながりについて報じていた。

その後、トランプ米大統領の指示で新たな合意が成立し、部品調達の禁止は解除された。これは、トランプ氏が中国の習近平・国家主席に譲歩したものと受け止められ、米政府内からも驚きや怒りの声が上がった。

対イラン制裁違反の捜査は、貿易戦争のずっと以前から始まっていた。だが今回の逮捕のタイミングは、トランプ大統領と習主席が一時休戦で合意した直後だけに、問題を複雑化させるだろう。

金融市場は逮捕のニュースを受けて、一時休戦が覆されることへの懸念から軒並み下落した。一方で、今回の逮捕が間の悪い偶然ではなく、米国側の意図的な挑発だったとの証拠はない。

ZTEに一時課されたような米国製部品の調達禁止が実施されれば、ファーウェイにとって大打撃になるだろうが、それが直ちに実施される理由は現段階では見当たらない。もし今回の逮捕をきっかけに、特に欧州の主要国がファーウェイに厳しい対応を取るようになれば、ファーウェイの成長や影響力に長期的に影響が及ぶことになる。

それでも、中国が半導体開発などの難しい分野で米国に追いつこうと全力を挙げるなか、中国のハイテク産業の中心的存在であるファーウェイが、今後長期にわたり強力な勢力であり続けるのは間違いない。

出典: jp.reuters.com

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