シネマの週末・この1本:ジャージー・ボーイズ 人生の輝きと苦味

2014/09/26 6:46

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 元はブロードウエーの舞台。1960年代に活躍したポップグループ、ザ・フォー・シーズンズの伝記で「君の瞳に恋してる」など誰もが知っているヒット曲が次々と登場する、いわゆる“ジュークボックスミュージカル”である。驚きは、監督がクリント・イーストウッド、というところ。

 史実に材を取った「インビクタス/負けざる者たち」「J・エドガー」や、現代米国の病理を突くような「グラン・トリノ」など重厚な作品が続いた後、80歳を超えてミュージカルとは。もっとも自身で作曲もこなし、「バード」ではチャーリー・パーカーを描いているから、当人には多彩な引き出しの一つなのかもしれない。

 物語は50年代初頭から始まる。米ニュージャージーの理髪師見習、フランキー(ジョン・ロイド・ヤング)は、友人のトミー(ビンセント・ピアッツァ)に誘われてバンドに参加する。「シェリー」の大ヒットでスターとなるものの、トミーが隠していた借金やメンバーの不和が露(あら)わになって分裂……。これだけなら、有名バンドの浮沈と内情を劇的に描く、他の音楽映画と変わるところがない。

 そこはイーストウッド監督の常で、ジャンル映画の見せかけにさまざまな味付けを施してみせる。核になるのは4人の男の友情と別れ。フランキーのお粗末な不良時代のドタバタ、才能にほれ込んだマフィアのデカルロ(クリストファー・ウォーケン)の厚情、イタリア系移民の町ニュージャージーとのつながり。後半、バンドが分裂すると、フランキーの孤軍奮闘と不幸な家庭生活が中心となる。

出典: rss.rssad.jp

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