大衆音楽月評:竹内、桑田、服部の元気の秘密は=専門編集委員・川崎浩

2014/10/01 6:19

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 そろそろ年末賞レースの話題が口の端に上ろうかという時期になったというのに、なかなか本命の名が挙がらない。それこそが今年の特徴なのかもしれない。突出した“新種”がレーダーに引っ掛からない分、ベテランやなじみの名前が目に付く。

 9月22日付オリコンの週間アルバム売り上げのトップは、竹内まりやの7年ぶりオリジナルアルバム「トラッド」だった。1980年代から2010年代までの4デケイド(10年単位)全てでオリジナルアルバムが1位を獲得したのは、史上初。達成年齢59歳6カ月というのも、松任谷由実が58歳10カ月の2012年12月、「日本の恋と、ユーミンと。」で作った女性最年長記録を塗り替えた。11月からは33年ぶりのツアーを行う。

 この週のシングル1位はサザンオールスターズ55作目の「東京VICTORY」であった。サザンのリーダー桑田佳祐は竹内の1歳下。07年には桑田・原由子、竹内・山下達郎の両夫婦そろって合同銀婚式を行ったことを思い出す。大ベテランがチャートで堂々トップを張れるのは、日本音楽界も成熟してきたと見たいものだ。そこに「家族」がくっきりと浮かび上がるのも面白い。

 服部良一の息子にして服部隆之の父親という音楽一家の柱で、日本を代表する作編曲家。品よくしゃれた都会感覚が、日本のポップスの質を保ってきたと見る。今年が77歳喜寿・プロ生活55年とあって、ベスト作品に新曲を加えた「55−77〜パスト、プレゼント&フューチャー」(徳間)と人気シリーズの21作目となる「音楽畑21−Virtuosi」(ワーナー)の2枚のアルバムを発売した。

 「『55−77』は活動の集大成。『音楽畑』は、これまで通りコンセプトが一本通ったオリジナル作品という性格」と服部。まだまだ制作意欲満々という風情だ。

 「『音楽畑』は20作でもういいか、と思っていましたが、8年前に脳梗塞(こうそく)を患った後どうも血の流れが変わったようでね。音楽にフックが付いてきた。ギザギザというかね。それなら、作るか」と腰を上げた。「本作は名人たちにスポットを当てた。僕らポピュラーの作家って、各楽器の名人たちに助けられている。その感謝の気持ちを表してみた」と言う。

 「隆之が、ソリストに書くのなら、娘の百音(もね)にも書いてくれ、と言い出してね。親ばかというか、じじバカというか……」と、目を細めるのは、既に各方面から注目されている14歳中学生バイオリニスト服部百音のこと。祖父を支えるベテラン奏者に交じった百音の演奏は初CD化である。

出典: rss.rssad.jp

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