災害時犠牲ゼロへ「避難カード」 逃げ場所など記入、県が活用訴え: 山陽新聞デジタル|さんデジ

2018/09/02 7:51

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 西日本豪雨で浸水被害を受けた倉敷市真備町地区は多くの人が自宅などに取り残され、51人が亡くなったが、被災した愛媛県大洲市の三善(みよし)地区では犠牲者がいなかった。決め手の一つが「災害・避難カード」。住民が地域の危険度や逃げるタイミング、逃げ場所を記入して事前に把握しておくことで、逃げ遅れを防いだ。防災力の強化につながるとして、岡山県は作製や活用を住民組織に呼び掛けている。5日まで防災週間―。

 カードは、住民が自ら名前や住所などの個人情報、緊急避難場所、移動手段などをまとめる個別の行動マニュアル。周囲で声掛けが必要な障害者や高齢者らの名前も記入できる。内閣府が2015~17年度にモデル事業を行い、全国八つの住民組織が地域の点検や話し合いなどのワークショップを通じてそれぞれのカードを完成させた。

 その一つが大洲市の三善地区自主防災組織。西日本豪雨に伴うダムの大量放流で1級河川の肱(ひじ)川が氾濫し、地区内は浸水したが、カードを携えた住民約60人は避難勧告後、公民館や高台の変電所に順次避難。犠牲者はゼロだった。

 同組織本部長の祖母井玄(うばがいけん)さん(65)は「地区は過去にも浸水被害を受けており、多くの人が自宅などの目に付く場所にカードを置いていた。避難時に声を掛ける人をカードで確認し、公民館まで連れてきたケースもあった」と話す。

 今回の豪雨では地域に深刻な被害は出なかったというが、前会長の長尾泰典さん(60)=同町=は「ワークショップでは五つの地区ごとに危険箇所を調べ、一軒一軒どう対応すべきか決めた。カード完成後も定期的に避難訓練などを行い、危機意識を共有している」と強調する。

 同自治会を参考に、県は16年度、岡山、新見市と鏡野町の3地区でカード作製に取り組んでもらうモデル事業を実施。17年度からは自主防災組織などによる作製経費を市町村と折半して支援する制度を設けたが、利用実績はまだない。

 県民の防災意識向上に向け、県は18年度までに避難場所・避難経路の確認をしている県民割合を38・2%とする目標を掲げていたが、8月に発表した調査結果では32・3%にとどまった。

出典: sanyonews.jp

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