石川県輪島市、熊本の被災陶器を漆で「再生」

2017/09/03 3:18

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石川県輪島市、熊本の被災陶器を漆で「再生」

 2007年の能登半島地震で被災した石川県輪島市は、昨年の熊本地震で壊れた陶器をふるさと納税の寄付金で修復するプロジェクトを始めた。復興への思いを込め、輪島塗の職人が破片をつなぎ合わせて新しい作品に再生する。提唱者で熊本県出身の映像プロデューサー太田黒哲さん(36)横浜市は「災害から何度もよみがえってきた日本を表現したい」と意気込む。

 熊本にいる陶芸家の友人とインターネットでの作品の写真展示を計画中に熊本地震が発生。多くの作品が壊れたと聞き、「破片を新しい形にできないか」と考え、修復プロジェクトを企画した。漆で陶片をつないでリメークするアイデアを提案したところ、熊本の陶芸家5人が「面白そう」と、容器約48リットル分の陶片を無償で提供してくれた。陶芸にはあまりないという器を直して使う輪島塗の習慣にも引かれ、輪島の職人への依頼が決まった。

 漆で破片を接着する「金(きん)継ぎ」の手法を用い、接合部を金の粉で補修したり、蒔絵(まきえ)を施したりして絵柄を描き、茶わんなど5作品を作る。プロジェクトで作る器の総称は、陶芸家5人と輪島の職人がつながる意味を込めて「五陶輪」と命名。熊本城の桜を描いた試作品の茶わん「繕桜(よしざくら)」が既にあり、阿蘇山をモチーフとした茶わんも制作する。完成次第、熊本、石川両県や東京都での展示会で披露し、海外発信も考えている。

 制作費はふるさと納税制度を使い、9月中に1000万円を集める。返礼品には五陶輪の箸置きを限定30個で用意。市の担当者は「ふるさと納税の使い方を示す良い事例になれば」と話す。

 陶片を提供した高田焼の陶芸家五嶋竜也さん(36)熊本県山鹿市は、約250個の作品が壊れ、悔しさで破片を捨てられずにいた。五嶋さんは「どんな形に生まれ変わるか楽しみ。輪島の職人にも会いたい」と話し、新しい伝統工芸の開拓にもつながると胸を膨らませる。

 制作を請け負った輪島市の蒔絵師稲見なつえさん(44)は、輪島塗のさらなる知名度アップにも期待。「すてきなアイデア。職人同士がつながるきっかけとなり、皆が元気になれば」と話している。

出典: vpoint.jp

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