Interview:岩松了 草食系若者に贈る 新作と16年前の戯曲、2本を演出

2014/09/30 6:10

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 NHKの連続テレビ小説「花子とアン」で花子をネチネチいじめていた(!?)放送局の部長を覚えておられるだろうか。ドラマや映画で渋い脇役を演じることも多く、「俳優でしょ」と思っている人もいるかもしれないが、劇作家、演出家として、日本の演劇界を支えてきた人である。その岩松が10月8日から、新作の書き下ろし戯曲「ジュリエット通り」を演出・上演、11月1日からは16年前に発表した戯曲「水の戯れ」を演出・上演する。秋の意欲作2本に挑む岩松を直撃した。

 まずは、シェークスピア劇「ロミオとジュリエット」をモチーフにした「ジュリエット通り」。とはいえ、若い男女が純愛を繰り広げる話ではない。舞台はズバリ、人妻がひそかに働く娼館(しょうかん)。そこの女たちと、通りを挟んで向かい合う資産家田崎昭一郎(風間杜夫)と妻スズ(高岡早紀)、息子太一(安田章大)が織りなす物語である。

 娼館に出入りする田崎や有力政治家らに、太一や若い娼婦のスイレン(大政絢(あや))が翻弄(ほんろう)されながら生き方を模索する。荒唐無稽(むけい)にも思えるが、岩松には狙いがある。

 「目的を失った裕福な大人たち」とは、まさに現代の日本社会のこと。太一は父親と対立することで自立していく。「家庭で競うことで、社会でも競っていかなきゃならない、と分かれば、社会に踏み出せる」。大人と格闘するうちに心が通じ合う太一とスイレン。「まずは太一がどうやって親父を乗り越えていくか。その壁を乗り越えなくちゃ(恋も)始まらない」。草食系とも言われる若者たちに対する骨太のメッセージを込める。

 もう一つは、1998年に「竹中直人の会」に書き下ろした「水の戯れ」。チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」を意識した作品だ。前回は竹中が演じた主人公を今回は光石研が演じ、岩松自身も出演する。家業を継いだ仕立て屋の男は13年前に死んだ弟の妻(菊池亜希子)に長く思いを寄せるが、なかなか切り出せない。中国人の恋人を連れて帰った兄に刺激され、ようやく男は思いを打ち明け、一緒に暮らすようになるのだが……。

 「『ワーニャ伯父さん』では、うだつの上がらないワーニャの前に美女が現れて惚(ほ)れるけれど相手にされない。それがもし結婚したらどうなるか、ということを書いた」と明かす。

 思い続けた相手と一緒になれたのに、男の心には疑心暗鬼が広がり、2人の会話はずれていく。「所有できない、というもどかしさでしょうね。思う期間が長すぎたから像を作ってしまった」。意外な結末が待ち受けるが、それは見てのお楽しみだ。

出典: rss.rssad.jp

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